外壁の塗り替えのことで、最近実家に来てくれている営業さんがいる
名前は成瀬さん
成瀬さんは、静かで、必要なことだけをストンと伝える人
声を張らないのに、ちゃんと届く話し方をする
そして、どうしても目がいってしまうのが 髪
サイドはすっきり短い2ブロック
上の髪は、やわらかくねじれている ツイストスパイラルパーマ
ふわっと軽いのに、ちゃんと形がある
「その人自身の空気を、髪が知っている」みたいな髪型
白シャツにグレーのベスト
ネイビーのパンツ
派手じゃないのに、なぜか印象が残る
「合わせ方が上手な人」って、こういう人のことなんだろうなと思う
そして、あの日のこと
外壁の色について一緒に庭で話していたとき、ふわっと、少し強めの風が吹いた
その瞬間…
成瀬さんの髪が、ふわぁっと持ち上がって、頭の上でやさしい鍋のフタみたいに開いたの
ツイストスパイラルの上段が、
まるで「実はこうなってます」という秘密の部屋の扉を!
やさしく世に向かって公開してしまった瞬間
わたしは心の中で叫んだ
「うわぁ、髪〜〜〜!浮いちゃってるよ」
成瀬さんは真剣そのものの横顔
外壁のラインを見て、色について考えている
でも、こちらの心はもう大パニック
その「ちょっとだけ崩れた瞬間」が、
なんとも言えず愛おしくて、可笑しくて、忘れられなくて
わたしは、そのワンシーンをそっと胸ポケットにしまった
きっと、あとで思い返したときに、また笑ってしまうやつね
三連休はまだ始まったばかり
こういう小さな景色を集めながら過ごしていく

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